東京ルミナスピラー
「そうなると、復活するとしても黒井を倒して、復活するまでの期間でバベルの塔を登るしかないか」


昴はそう言いつつも、それがいかに困難かということは考えなくともわかっていた。


相手はあの悪魔的な強さの黒井だ。


戦うとなれば、こちら側の被害は甚大なものとなるだろう。


仮にそれで黒井を倒せたとしても、皆が復活するのを待たなければバベルの塔を攻略することなど不可能。


そして仲間の復活を待てば……黒井も復活してしまう危険性があるのだから。


「ギャンブルですね。『ヴァルハラ』のように、PBTを破壊すれば復活出来ない、というのであれば勝機はあったのですが。技術の進歩は、必ずしも良いことばかりではないということですね」


「……ところで、北軍と西軍の様子はどうですか?」


「それは、名鳥さんとあやせくんのことが気になるということでいいんでしょうかね? 家族を二人、失ってしまったんです。あの二人はもうダメだと考えておいた方が良いでしょう」


密偵として名を馳せた千桜の評価は、私情を挟まない客観的なもので、それゆえに昴も絶大な信頼を寄せていた。


その千桜がダメだと言うのである。


信じたいという気持ちはあったが、それを待てるほどの余裕は昴にはなかった。
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