東京ルミナスピラー

「イラつく野郎だ！ 何を笑っていやがる！」


怒りを露にして、そう沼沢が吠えた時だった。


「残念だけど、おじさんに興味はないんだよ。ごめんねぇ」


鎖分銅の直撃を受けたミモザが、沼沢の背後に回り込んで、頭部にフルーレを突き刺し、沼沢の左目を貫いたのだ。


「今のはお前のミスだ。ミモザには打撃は効かない。鎖分銅で仕留めたと思い込んだのが最大の間違いだ」


沼沢が鎖分銅を引いた時、ミモザはそれを掴んで一気に沼沢との距離を詰め、首を掴んで背後を取っていた。


ギリッと歯を食いしばる音が聞こえて、沼沢が背後にいるミモザの頭部を掴み、力任せに屋上に叩き付けたが、当然それもダメージはない。


頼みの綱の毒も、全く効いていないようだ。


「ゆ、結城さん。なんでこんなに強いやつらがいっぱいいるんですかぁ！ それに、このバーコードのおじさんは誰なんですかぁ!?」


「あ、これはこれは。申し遅れました。私、大塚紀久と申しまして……」


沼沢という凶悪な敵を前にして、普通に自己紹介を始める大塚は流石と言うべきかと、昴は一瞬納得しそうになったが、すぐに首を横に振った。


「マスター！ 話は後です！ 今はこいつを倒します！ 俺のサポートをお願いします！」