東京ルミナスピラー
言うが早いか、昴は日本刀を鞘に納めたまま、沼沢に向かって走り出した。


「舐めるなよ！ 若僧が！」


それを迎え撃つように、沼沢は鎖分銅を腕に巻き付けて昴に向かって飛び掛かる。


「紫電一閃……」


フッと息を吐き、鞘から解き放たれた刃が、雷のような凄まじい速度で沼沢を襲う。


だが、それは鎖を巻き付けた沼沢の手によってあっさりと受け止められた。


「速いな。だが、たかだかその程度の攻撃、腐るほど見て来ている！」


グッと握り締めた左の拳。


鎖が巻かれたその拳を、昴の顔面に向かって放つ。


「……二式！ 紫電連撃！」


受け止められるのを想定していたのか、昴は超高速で納刀し、身体を右に捻って抜刀すると、先程よりも速度が上がった斬撃が沼沢の左の拳に打ち付けられた。


「ぐっ！ 舐めるなよ！ ほんの少しスピードが上がったくらいで！」


左の拳をも受け止められた沼沢は、ムキになって右の拳を放つが……その攻撃も、超高速の抜刀術により遮られ、どんどん苛立ちが募って行く。


普通、苛立ちは戦いにおいて、決してプラスになるものではない。


しかし、沼沢に限ってはそれはマイナスにはならなかった。


むしろ、感情を爆発させてからが、沼沢の本領と言えた。
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