東京ルミナスピラー
攻撃を仕掛けている昴も、その違和感に気付いていた。


どれだけ攻撃を仕掛けても、沼沢の攻撃速度を上回れない。


いや、それどころか、怒りで顔を歪ませている沼沢の方が攻撃速度が速くなっていることに気付き、昴は判断を迫られることになった。


このまま攻撃を続けるか、それとも反撃覚悟で退くか。


どちらにしても、タダでは済みそうにないと感じながら、一か八かの賭けに出るしかないというところまで精神的に追い詰められる。


「紫電一閃・改……」


納刀状態から飛び上がり、鞘を縦に持って溜めを行った昴は一気に刃を上に引き抜いて、日本刀を回転させると沼沢の頭部目掛けて一気に振り下ろした。


紫電招雷閃!(しでんしょうらいせん)


「紫電紫電うるせぇんだよ! いつまで調子に乗ってるつもりだ!」


が、それを沼沢は右手を振り上げて容易に受け止めたのだ。


昴の一か八かの渾身の一撃すらも、沼沢はあっさりと防ぎ、サポートを頼まれた大塚はこの攻防に飛び込む隙さえも見付けられずに。


それでも……昴の攻撃が終わったわけではなかった。


「うおおおおおおおおっ!」


防がれたまま、それでも勢いよく振り抜いた日本刀。


それに押されて空中にいた沼沢の足が屋上に付いた瞬間……ピシャッという音が辺りに響いたのだ。
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