東京ルミナスピラー
そう言うと、二度と同じ技は食らわんとばかりに、沼沢は宙に浮いて。


5メートル程上空に制止すると、沼沢はすぐにPBSを開いた。


「させるか!」


そこは戦い慣れた昴である。


自らは千切れた右腕を回復もせず、沼沢に回復をさせまいと飛び上がって武器を振るう。


「き、貴様っ!」


「おっと、同じ『ゆうき』同士なんだ、ダメージを受けたままでやろうぜ」


二人の精神状態は対極。


大ダメージを受け、さらに集中力を増した昴と、大ダメージを受け、さらに苛立ちが増した沼沢。


不思議なことに、二人の精神状態は全く違うが、それらはお互いに力を引き出す源となっていた。


左手で鞘から引き抜いた日本刀を振るい、沼沢の身体を蹴って上昇し、落下を防ぎながら戦う昴。


だがそれも、沼沢が鬱陶しいと移動してしまえば足場を失う。


まるでコバエを払うかのように腕を振り、後方に飛んで逃げた沼沢に対し、接近するどころか上昇する手段をも失い、昴は落下を始めた。


「昴くん! これを足場に!」


それにいち早く気付いたのは大塚だった。


昴が落下をする前に飛び上がり、三節棍を昴の足元に伸ばしてそう言うと、それに応えるかのように昴は三節棍の上を走ったのだ。
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