東京ルミナスピラー
強くなればなるほど、相手の武器の上に乗ったり、それを足場にして加速することはあることだが、昴はそれをさらに凌駕していた。


三節棍とは、自在に動く節が二つある武器である。


どれだけ真っ直ぐに伸ばしても、絶対に垂れ下がる武器で、自らの重さを感じさせずに、その上を走って加速して飛び上がったのだ。


いや、昴だけではない。


大塚もまた、この戦いにおいて、瞬時に必要なことが何かを判断し、最高のパスを昴に送ったことを考えると、この男の洞察力も凄まじいものがある。


日本刀を口にくわえた昴は、沼沢に接近する僅かな時間でPBSを開き、素早く回復を行う。


そして再生した右手で日本刀に握り締め、頭上に掲げて沼沢に迫った。


「こいつ! 人には回復するなと言っておいて! だが、俺の方が速かっ……なにっ!」


沼沢もPBSを開き、回復をしようと指がスクリーンに触れる直前……。


「僕がいることを忘れないでほしいもんだねぇ」


ミモザが沼沢に飛び掛かり、フルーレを突き付けてその指と口を同時に貫いたのだ。


指が押し戻されたのは、スクリーンに触れる前。


「き、貴様あっ!!」


怒りに任せてミモザを殴り付けた沼沢。


だが、ミモザには打撃は効かない。


屋上に叩き付けられたミモザは、笑いながら沼沢に舌を出して見せた。

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