東京ルミナスピラー
それだけではない。


「僕を倒したと思って油断しましたね? まあ、油断してもらわなければ意味がないのですが」


さらに、死んだはずの千桜が、沼沢の背中に棒手裏剣を突き刺して仰け反らせたのだ。


千桜は、大塚と合流した時点で分身を近くに潜ませていた。


そして、死んだと思わせておいて攻撃の隙を窺っていたのだ。


それに加えて、既に攻撃態勢に入っていた昴の攻撃が、沼沢の頭上に降り注ぐ。


「し、しまっ……」


「紫電……一閃!」


振り上げて鞘に納めた日本刀を、引き抜くと同時に沼沢に振り下ろした昴。


強引に避けるように沼沢は首を傾けたけれど、肩に日本刀が食い込む。


鋭い斬れ味の刃が肉を裂き、骨を断ち、沼沢の体内に侵入して行くが、そこは沼沢もこの街屈指の実力者だ。


腕を心臓の上に上げ、日本刀を止めたのだ。


それでも、ダメージを回復出来なかった沼沢が、回復したばかりの昴の攻撃を耐えられるはずもなく、斬撃の勢いに押されて身体が落下を始める。


自分の意思で飛んでいられない。


叩き落とされるような感覚に、沼沢は恐怖し、そして屋上に叩き付けられた。


まるで隕石でも落ちたかと思うような衝撃が、マンションの屋上を、壁を粉砕し、沼沢は階下へと落下した。
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