東京ルミナスピラー
〜部屋の中~


「ぐ、ぐぅぅっ! まさか、鬼となった俺よりも強いというのか……認めん! 俺は認めんぞ!」


マンションの一室に落下した沼沢は、焼け焦げた身体を起こして肩で息をしていた。


これ以上追撃されたら本当に命がなかったかもしれない。


それくらいに強烈な攻撃を受け、息も絶え絶えに立ち上がると……目の前には一人の女がいた。


「な、なんでこんな所に鬼が……とっとと出て行かないとぶっ殺すからね!」


狭い部屋で巨大な斧を構え、驚いてはいるが怯えてはいない。


その言葉通り、攻撃を仕掛けることに躊躇いはなさそうな強い眼差しに、沼沢は歯ぎしりをした。


「どいつもこいつも俺をイラつかせる。お前程度が俺を殺せるか! 丁度いい……お前を食ってやる。鬼になったんだ、鬼は鬼なりのパワーアップをしないとな」


PBSを開き、回復をした沼沢が女に迫る。


ゆっくりと歩み、手を伸ばし。


それを拒絶するように女は斧を振ったが、沼沢は鎖を巻いた手でそれを容易に受け止めた。


「な、なんだよこいつ! 強い!」


「俺は強いぞ。そしてお前は弱い。ただそれだけだ」


ニタリと笑って、沼沢が女の頭に手を伸ばしたその時だった。


ベッドで寝ていた少年が、いつの間にか沼沢の手首を掴んで、それを制止させていたのだ。
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