東京ルミナスピラー

ゴトリと沼沢の首が床に落ちる。


と同時に、崩落した天井から昴達が降りて来て、驚いた様子でその光景を見ていた。


驚いた理由は二つ。


灯が死んで日から、心が壊れたかのように動かなかった葵が目の前に立っていること。


そしてその葵が、昴達が四人がかりでやっと倒せそうだった沼沢を一刀のもとに斬り捨てていたから。


一体何が起こって、葵が立ち直ったのか、何が起こってこれほどの力が宿ったのか、昴には理解が出来なかった。


その中でも、大塚だけは理解したように小さく唸っていた。


目の前の沼沢が、光の粒に変化して辺りに飛び散る。


それを合図にするかのように、フッと葵の意識は途絶え、その場に倒れ込んだのだ。


「あやせくん！ 一体何が……夕蘭さん、あやせくんをベッドに運びますよ！ 脚を持ってください！」


「え、う、うん！」


倒れた葵に慌てて駆け寄った千桜と夕蘭を見ながら、昴は目を細めた。


「あの少年……一人で沼沢さんを倒したのですか。まるで昔の昴くんのようですね。なのに……どうしてそんな表情なんですか？」


「どうしてですかね？ 言ったら笑われるかもしれませんが、嫉妬かもしれません。突然、沼沢を倒すほどに強くなって復活した葵に対するね」


「なるほど。実に人間くさくて結構ではないですか」