東京ルミナスピラー
おかしなこととは一体なにごとかと、そこにいる全員がPBSを開いて葵をスキャンしてみると……。


「これは……どういうことだ? 葵は今、16歳のはずですよね? なのにどうして……」


「気付きましたかわたるくん。『ヴァルハラ』は今から約18年前、そして『バベル』はそれのさらに5年前だと聞きました。なのにあやせくんにはその二つのアイコンがあるんです。その時にはまだ、影も形もないはずなのに」


PBSに表示された「北条葵」いう名前の横に、確かに表示されている「バベル」と「ヴァルハラ」という文字。


有り得ないと思いつつも、昴にはこの表示がある意味腑に落ちていた。


「千桜さん、俺達は『ヴァルハラ』で、これが表示されている人達は、表示がない人達より強いですよね?」


「ええ、魂があの戦いの日々を覚えているのでしょうね。必要な経験値はすでに持っている状態で始まった気がしますよ」


「ソウルウェポンは魂の力……か。つまり、葵には恵梨香さんの魂が宿っている……そう考えられませんか?」


懐かしむように、微かな頬笑みを浮かべて昴は葵のベッドに歩み寄った。


むしろ、それ以外にこの奇妙な現象の説明が出来ないのだ。
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