東京ルミナスピラー
眠る葵の前髪を指で横に払って、さらにフフッと笑った昴。


「本当に、恵梨香さんに良く似てる。性格は違うようだけど」


「北条恵梨香……彼女はとてつもなく強かったですね。肉体的な強さもさることながら、その精神力は異常と呼べるほど強かった。もしも、内面が似ていたらあやせくんも悲しみに押し潰されることはなかったかもしれませんね」


「どうでしょうね。ああ見えて、恵梨香さんは愛情深い人でしたし、大切な物を失う苦しみといつも戦っていたように見えましたから。葵がその苦しみを乗り越えられるかどうか……」


一度は、もうダメだと諦めた昴も、葵に起こった変化に希望を見出したか、眉間にシワを寄せて目を閉じた。


祈りにも近い思いだったに違いない。


「千桜さん、次の聖戦が始まったら、篠田さんと吹雪さんの所に走ってくれませんか? 伝言は、マスターから聞いたことと葵の変化。後は……終わりが近い気がするということを」


「……わかりました。ですが、終わりが近いとは。まさか、バベルの塔に?」


昴の言葉に、首を傾げて問い掛けた千桜。


それは尋ねるまでもないことだったが、千桜自身、昴の口から聞きたいという思いがあった。


「鬼王・黒井を倒したら、バベルの塔に行きます」




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