東京ルミナスピラー
そして、それを見た蘭子は即座にランスを取り出し、宗司の肩を叩いて屋上の縁に立ち上がった。


「宗司、敵だ。誰か……とんでもなく強い誰かが来る!」


蘭子達が直接狙われたわけではない。


だが、投げられた何かの着地地点には誰かがいたようで、上手く回避したところまでは蘭子の目で追うことが出来ていたから。


「敵……誰だ誰だ。人がメランコリックな気分な時によ! 時と場合を考えて攻撃してきやがれ! まだ聖戦でもないだろうが!」


突然怒りに震えて立ち上がった宗司は、苦無を取り出して蘭子の腰を抱いた。


そしてそこから飛び下りたのだ。


全く衝撃を感じずに地面に着地した宗司は蘭子を下ろすと、武器をハルベルトに持ち替えて、浅草橋駅に向かってジャンプする。


ランスを構えて地上を走る蘭子と、ジャンプで一気に距離を詰める宗司。


まるで悲しみを振り払うように、目の前の敵にそれをぶつけていた。


「うおおおおいっ! 誰だ誰だ! 聖戦でもねぇのにちょっかい出してくるバカはよ! 悪いが俺の怒りの捌け口に……」


浅草橋駅のホームの天井の上に乗り、怒鳴りつけた宗司だったが、その視線の先にいた人物を見て、チッと舌打ちをした。
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