東京ルミナスピラー
「クソ親父が……魂の鎖に繋がれてんのかよ。てかおい! 誰かいるんだろ!? 俺は味方だ! 少しでも戦えるなら俺達に協力しろ!」


迫る鬼と秋本を見て、宗司は声を上げた。


バベルの塔の近くから何かを投げられたなら、標的となる物……つまり、人がいたはずだ。


その宗司の呼び掛けに答えるように、止まっている電車の影から一人の女性が姿を現した。


「出てきたってことは、それなりに戦えるってことだな。おい、あんた! もうすぐ俺の仲間が来る! そいつと協力して、あの鬼を……」


ゆっくりと振り向いたその女性。


宗司は驚き、言葉を失ってしまった。


なぜならその女性は……そっくりとはいかないまでも、灯に似ていたから。


いや、髪の長さが違うが、よく見ればかなり似ているように思えた。


「わかりました! と言うかごめんなさい! 私が見付かったのを、助けに来てくれたんですよね!」


声の感じは全く違うし、灯よりも大人びている。


そんな風に、灯と比べてしまう自分が嫌で、宗司は激しく首を横に振った。


「比べるな! あれは……灯じゃねぇ!」


前髪を掻き上げて掴み、自分にそう言い聞かせるように呟いた宗司は、迷いを振り払うように鬼に飛び掛かった。
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