東京ルミナスピラー
その横では、沙也香と爛鬼が戦っていたが、こちらも沙也香にとっては旗色の悪い戦いとなっていた。


扇を構えて爛鬼が接近する。


距離を取ろうと、後退しながら拳銃を撃つが、その弾丸は扇によって後方に反らされる。


沙也香がそれなりに強いのは、爛鬼と同等の速度で動けていることから判断出来た。


「逃げ回っていても勝てやしないよ! 今、何発撃った!? その拳銃は6発しか撃てないリボルバーだろう!?」


「鬼のくせにペラペラと!」


そしてさらに一発、爛鬼に撃つが、扇で撫でるように銃弾を回避する。


「ほら、今ので5発。あと1発しか撃てないんじゃないのかい?」


爛鬼の言う通り、沙也香の拳銃は連続で撃てるような代物ではない。


リロードする手間こそないものの、弾丸を一発補充するのに数秒の時間を要するのだ。


そして、高速戦闘下ではこの数秒というのはとてつもなく長い時間となってしまう。


そんな中で、沙也香を絶望に叩き落とす事態が発生した。


爛鬼が扇をヒラヒラと動かした直後、沙也香の周囲に無数の爛鬼が現れたのだ。


「名付けて夢幻爛舞。どれが本物の私かわからないだろう? そして、残り一発しか弾が残っていないお前には、本物の私を撃つことは出来ない」
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