東京ルミナスピラー
「宗司くんと蘭子ちゃんは、両国から鬼が西軍に侵入してくる時、どれくらい侵入経路があるかわかる? ここから南にある両国橋とこの線路。陸路はこの二つしかないんだよ。両国橋の方は、北上しようとしたら神田川を越えなければならなくて、橋は防衛の要になってるわけ」


沙也香にそう言われてPBSを開いてみると、確かに西軍に繋がっているのはその二箇所。


西軍は他の軍と比べても極端に街の中心部との接点が少ないことがわかる。


東軍に至っては、侵入を拒む大きな川がなくて、鬼に支配されているという理由も理解できた。


「つまり、この線路は最重要ポイントってことか。なんだよタケさん……沙也香さん一人に任せて、援軍を寄越さないのかよ」


「あー、それはちょっと違ってさ。連携も取れない、すぐに殺られるような人達を増援に寄越されても迷惑なだけなんだよね。それなら私一人で良いし、死んだら死んだで、私一人の被害で済むでしょ?」


思ったよりもドライな考え方だなと思うと同時に、宗司はそれも一理あると思ってしまった。


だから一人でここにいるのかと。


「まあ、蘭子ちゃんとは不思議と連携が取れたね。いえーい!」


「そうだな。いえーい」


パシッとハイタッチをして、沙也香も蘭子も満面の笑みを浮かべた。
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