東京ルミナスピラー
月影にそう言われた伊良さんは苦笑いしながらビールを飲んで。


小さく「遠慮しとくわ」と呟いた。


「えっと、凄い素朴な疑問なんだけどさ。月影さんや大塚さんが見て、この人は心・技・体揃った強い人って、この街にどれくらいいるの?」


「夕蘭さん、実にいい質問ですね。私の見立てでは、昴くん、篠田さん、宗司くん。そして秋本さんに雨村さんと言ったところでしょうか。もちろん、黒井さんも当然入ってきますが」


まさかその中に宗司の名前が入ってるなんてな。


いや、タケさんに正面から戦争を仕掛けるくらいだから、それくらい強くなっていても当然か。


父さんは……きっと、姉さんと灯が死んでしまって心のバランスを崩してしまったのか。


「おや? わたるくんがその中に入っているということは、どうしてあやせくんに負けたのでしょうか? 負ける要素はなかったはずですよね?」


「千桜……お前、昴って聞いたのにわたるって言ってんのか。間違えて覚えてるんじゃなくて、わざと間違えてたんだな……」


千桜さんの言葉に、伊良さんが呆れたように首を横に振った。


まあ、俺もなんとなくわざとそう呼んでる気がしていたけどさ。


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