東京ルミナスピラー
『聖戦が開始されました。皆さん、頑張ってください』
そのガイダンスが聞こえ、俺と夕蘭は新大橋の方に向かって走り出した。
ルートとしては、両国を横切ればすぐ北軍に入るが、千桜さんの情報だと今の両国はポーンとナイトの巣窟だということで、そこは避けて隅田川を越えて西軍の中を北上する予定だ。
「ねえ、葵! ひとつ聞いておきたいことがあるんだけど!」
武器を取り出しての高速移動。
夕蘭は重そうな戦斧を肩に担いでいるのに、かなりの速さで走っている。
伊良さんの特訓を受けたってことは、どうしても伊良さんみたいなド派手な戦い方になっているのかと考えてしまうけど……どうなんだろうな。
「聞きたいこと?」
「西軍でさ、クソ親父と宗司が戦ってるんでしょ!? 葵は……どっちの味方をするのかなって思ってさ」
なるほど。
夕蘭にしてみれば、仲が良くないとはいえタケさんは父親なわけで、出来れば敵対したくないと思っているだろうな。
かたや宗司は俺の親友なわけで。
どちらにつくかなんて、それだけを聞けばわかり切っているよな。
「さぁ……どんな理由で争ってるのかわからないし、それこそ大塚さんが言ったように、俺の善悪で判断するかもしれない。まだわからないさ」