東京ルミナスピラー
その攻撃には一切の迷いはない。


本気で俺を殺そうと、ランスを何度も突き付けてくる。


後退しながら日本刀で軌道をずらし、その悲しみに満ちた攻撃をただ受け流していた。


蘭子は……泣いているんだ。


たった一人でこんなところに残されて、それでも宗司の為だと我慢しながら、宗司が戻って来てくれるのをただ待っているんだ。


その沙也香というのが誰なのかはわからないけど、蘭子よりも大切に思える人が宗司に出来たのかもしれない。


「攻撃を止めろ！ 俺は泣いている子と戦うつもりはない！ 武器を収めろ！」


「嫌だ！ 葵を倒せば宗司はきっと蘭子を見てくれる！ 蘭子のところに帰って来てくれる！ だからここで葵を殺さなきゃならないんだ！」


やめろと言っても蘭子は攻撃の手を緩めそうにない。


顔をくしゃくしゃにして、涙を流しながら攻撃する姿は、まるで駄々をこねる子供のようで。


「蘭子！ 宗司が連れて行った沙也香って誰なんだよ！ それがわからない！」


「葵に言う必要はない！ 沙也香に宗司を取られるのは嫌だけど、葵に沙也香を取られて、宗司が悲しむのはもっと嫌だ！ 蘭子は宗司を悲しませたくたい！」
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