東京ルミナスピラー
俺の反応が予想外だったのか、それとも何か感じるものがあったのか、ビクッと身体を震わせた蘭子は速度を緩めたが……ランスは俺の腹に刺さり、とんでもない激痛が全身を駆け巡った。


こんなの元の世界なら、絶対に失神してるというほどの激痛だが、この街にいるせいかこの程度のダメージは日常茶飯事。


ランスが半分ほど突き刺さって、蘭子の顔が青ざめる。


「お、俺は……蘭子の味方だ。蘭子とは……戦いたく……ない」


「な、なんで……だって蘭子は葵を殺そうとしたのに……」


戸惑う蘭子の手からランスが離れる。


その瞬間、俺の腹部に突き刺さるランスが消え、一気にそこから激痛と内臓が溢れ出す。


これはまずいと、慌ててPBSを開き、回復することで一命を取り留めたが、一気に命を持っていかれるような感覚に溺れそうになった。


「あ、危なかった……大丈夫だ蘭子。少なくとも俺は、蘭子の味方だ。敵なんかじゃない」


震える蘭子の頭に手を伸ばし、微笑んでゆっくりと撫でると……蘭子は人目もはばからず、声を上げて泣き始めた。


安心したのか、俺にしがみついて。


俺が蘭子を受け入れようとしたから、蘭子は俺を殺さなかったわけじゃない。


きっと、最初から殺すつもりはなかったのだろう。
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