東京ルミナスピラー
蘭子が泣き止んだのは、それから5分後のことだった。


聖戦はまだ終わっていないし、さっさと北軍に行きたいけど……今の蘭子を放っておくわけにはいかないよな。


高架下の道に腰を下ろして三人並んで、話を聞いていた。


「どっちでも良かった。蘭子が死んだら、宗司は悲しんでくれるかもしれない。怒ってくれるかもしれない。葵を殺せば宗司は褒めてくれる。あの女よりも蘭子を見てくれるって思ったけど……」


「葵を殺すことは出来なかったわけね。そりゃそうだよ。こっちからしても蘭子ちゃんは味方なんだし、いきなり敵だって言われてもね」


夕蘭の言葉に、勢いよく頷いた蘭子。


話を聞いてくれる状態に落ち着いたのはいいけど、俺は危うく死にかけたんだよな。


「で? さっき言ってた沙也香ってのは誰なんだ? 俺は聞いたことない名前だけど」


「言えない。葵が知ってしまうと宗司が悲しむから」


「あ、ああ……そう」


話はしてくれるけど、これじゃあ戦っている時と何も変わらないな。


「じゃあ……蘭子ちゃんは一人でここを守ってるの? ずっと一人で?」


「ここは『ぼうえいのかなめ』らしい。隅田川があるから、ここさえ守っていれば鬼は入って来ないって言ってたから、蘭子が守ってる」
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