東京ルミナスピラー
「また北軍に行くのか。蘭子達が初めて出会った時も、葵は北軍に行こうとしていたな」


「そうだな。あれからどれくらい経った? なんか、昔から知ってる妹みたいな感じだよ蘭子は」


わしゃわしゃと頭を撫でて、笑ってみせると蘭子は照れたように。


「聖戦がもうすぐ終わる。早く行かないとまた川を渡ることになる」


視界の端を見ると、残りの聖戦の時間は11分。


話し込んでいたらすぐに時間が経ってしまうな。


「それじゃあ……行くか夕蘭。蘭子はここで守ってるのか?」


立ち上がり、夕蘭に手を差し伸べて引き起こした俺は、蘭子に尋ねた。


「蘭子がいないと鬼達が入って来る。前よりも多くなってるから」


道に座ったまま、寂しそうに呟く。


「そうか……」


結局、一人でここにい続けることになるのか蘭子は。


まだ中学生の女の子なのに。


「そ、そうだ。舞美は津堂の仲間だぞ。もしも会ったら気を付けろ」


舞美さんが?


いや、何となくだけど、俺はそうなんじゃないかと思っていた。


東軍で緑川を倒した時、飛んで来た光の矢。


あれは、舞美さんの技だったから。


もちろん他にも使えるやつはいるだろうけど、俺は舞美さんしか知らないから、真っ先に頭に浮かんだのが舞美さんだった。
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