東京ルミナスピラー
「ほ、他に聞きたいことはもうないのか? あ、葵がどうしても一緒に来てくれって言うなら、一緒に行ってやるぞ」


やっぱり、一人ぼっちなのは辛かったのだろう。


どれだけここに一人でいたのかはわからないけど、もしも宗司とタケさんが戦争を始めた頃からだとしたら、少なくとも一週間は一人だったことになる。


「……俺は蘭子にそんな命令はしない」


「そ、そうじゃない! 蘭子はこれからどうすれば良いのか教えてほしい! このままここにいたらいいのか? それとも葵と一緒に行けばいいのか? 誰か蘭子に教えて……」


あの日、俺達と出会った蘭子は、宗司に一目惚れした。


いつも一緒で、宗司の恋人になった蘭子は、その宗司によってこんな場所に一人で防衛をするように命令されたんだ。


どれほどショックを受けたか、どれほど心細かったか。


でも、それは俺が決めることじゃない。


「俺は蘭子の友達だ。だから、ついて来たいなら来ればいい。蘭子の意思で決めるんだ。蘭子が決めたなら、俺は全力で守るよ」


俺がそう言うと、蘭子はボロボロと涙を流して。


立ち上がり、俺に駆け寄って飛び付いたのだ。


「蘭子、葵と行く! もう一人は嫌だ!」


泣きじゃくる蘭子の頭を撫でて、やっと本心で話してくれたと、俺は少し嬉しく感じていた。
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