儚い桜、物憂げに。
「血って、2種類あるの知ってる?動脈血と静脈血。動脈血は鮮やかな赤色をしていて、静脈血は暗い赤色をしてるんだ……そう。その服に付いてるシミと同じ色を……」

愁が目を細めると、皆の視線は胡桃の着ている服に付いたシミに目を移す。

「じゃ……じゃあ、月夜くんの服に付いたシミはどう説明するの?」

「これは……水を飲んだ時に零したんです」

胡桃の質問に月夜が答えた。それを、胡桃は睨みつけた。それを見た愁は、ため息をつく。

「……まだ罪を認めないの?みっともない……自分の部屋から出てきた颯さんを、胡桃さんは脅して風呂場まで連れ込んで、颯さんの手首を刃物で切った。でも、抵抗するから気絶させた……その後、自殺に見せかけて、その場をそっと離れたんだ。そして、そのまま料理を始めたんだ。抵抗した時に、自分の服に血が付いてることを知らずに……違う?」

愁がそう言うと、胡桃は観念するように笑った。

「そうだよ。私が颯を殺したんだ」

「一体何で!?」

「……育児に疲れたからよ!」

月夜の問いかけに、胡桃は月夜を睨む。その言葉を聞いて、月夜は俯いた。

「そんなくだらない理由で……颯は、殺されたの……?」

月夜は、震えながら呟く。
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