儚い桜、物憂げに。
庭には愁が立っており、風に乗って舞った桜の花びらの雨が愁に降りかかる。その姿は、儚げで月夜が手を伸ばすだけで消えてしまいそうだ。

その姿に月夜が見惚れていると、愁は月夜の存在に気付いたようで、月夜の方を向いた。

「……寝れないの?」

「はい……」

「そっか……僕もだよ。ちょっと、僕と話そうか」

愁は縁側に座り、月夜に隣に座るように促す。月夜は、言われるがままに縁側に座った。

「……月夜くん。これから僕や母さんに、敬語を使わなくて良いからね……家族なんだから」

「……分かってる。癖で出てしまいそうだけど……」

「……そっか」

「あ……あのさ……僕を愁さんの助手にしてくれない?少しでも愁さんの助けになりたくて!」

月夜の言葉に、愁は驚く。

「良いよ……これからよろしく頼む」

愁はそう微笑んで、月夜の頭を撫でた。
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