30歳のクリスマスソング
 今夜は店が休みとのことで家族揃(かぞくそろ)っての夕食。



        の(はず)だった。




「母ちゃん、ヤスは?」
「デート」


ヤスとは19歳の
  工場で働いている二番目の弟。
  まあそこそこイケメンで、
  ちょいチャラくて女の扱いは上手い。


「へーそうなん。アタシへの当てつけ?」
「そりゃ姉ちゃんが悪いんやんか。」


「なんでー?」
「姉ちゃんのその性格とか直さんのがいかんのとちゃう?」


「アンタなんで最近関西弁?」
「何となく。」


「姉ちゃん、そこそこ綺麗なんやからさ、その辺もうちょっとどうにかして、我慢言うもん覚えたらすぐ彼氏できると思うけどなあ。」


「せやろ?せやろ?うちもそう思てたんや。」
「関西弁やめえな。」


「アンタの店のお客さんでいい人おらんとね?」
「そんな母ちゃん無理やって。」


「兄弟なんやからお姉ちゃんの幸せ手伝ってよ。」
「そんなんよかし!」



「ご馳走さまでした!」
(はし)をテーブルに叩きつけた。


大体、家族で夕食食べるとこんなことになる。

< 14 / 68 >

この作品をシェア

pagetop