30歳のクリスマスソング
「ねえ、君たち地元?」
「そうです。」

とこっちを見たその彼のイケメンぶりに絶句するアラサー女達。



   マジか…



「観光の方ですか?」
と微笑んだ口元には真っ白な歯。
   その奥には更に可愛い八重歯。


   萌の好みのどストライク。
    萌を見ると
   完全にときめいてる目をしてる。



「そうなんです。ネットでここの味噌ラーメンが美味しいってあって。」


「美味しいですよ。」
「美味しいって…期待膨らむなあ」
とアタシの顔を覗き込んでくる萌。

「ねっ!」
と相槌は打つものの気はそぞろ。




 それからしばらくして待望の味噌ラーメンが運ばれてくるまでずっと、萌とその男の子の会話を横目にネットで暇つぶし。



「味噌ラーメン二丁あがりい!」



「マジ!美味そう!」
「じゃ俺たちはお先に。」
と二人が立ち上がった時「セリちゃーん」と呼ぶ声。


 その声の方を見るとありがちな、またまた偶然の出会い。いくらアタシでもここまでの設定はしないと思いつつもニヤけるアラサー。


「しん…がくりょうじゃん!」
「何それ?」
「アンタの名前じゃん。」


その瞬間、二人の男がアタシを指差して爆笑。


「お前の名前、がくりょうやったんか。」
「俺、いつの間にか中国人やんけ。」

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