30歳のクリスマスソング
  ーーこいつだけはわからん。
  ーーそれとも洒落(しゃれ)なの?


「じゃ、交代」
「汝…何やったっけ?」
「かぐらりょう!」
「あ、そうそう。」


ついついつられて結婚式遊びに付き合う女。


「汝、神楽良(かぐらりょう)は高見芹那を病める時も健やかなる時も愛すことを誓いますか?」

「はい、誓います。」


そう言った途端、アタシの手を引き寄せ唇を重ねてきたアイツ。


   ーーえ?
    ーーどういうこと?


あまりの突然さに頭ではそう思っても、身体が反応できない。しかもそれだけでは飽き足らずゆっくりとアタシの手を自分の首に回して抱きしめてきて…次第に白くなって行く意識。


   ーー嘘…
   ーーマジだ…
   ーー止めてって…


余りの急展開に心がついていけない。


 多分、時間にして数分はあったように感じた。唇を離した時…お互いの唾液が糸を引いていたのがキャンドルに照らされて飴細工(あめざいく)のように見えた。


< 51 / 68 >

この作品をシェア

pagetop