地味で根暗で電信柱な私だけど、甘いキスをしてくれますか?
「客注の県では申し訳ありませんでした」
山田さんが深々と頭を下げて謝る。十五秒程してから彼は頭を上げ、付け加えるように言った。
「いやぁ、駅で佐藤さんとばったり会っちゃいまして。せっかくなんで連れて来ちゃいました」
すでに仕入課を通したらしく山田さんが現物のみを私に手渡してくる。彼の隣で佐藤さんが苦笑していた。だがさすが爽やか系イケメン。苦笑いしようとその格好良さは少しも損なわれていない。
「えっと、今日って午後から西武池袋線沿線を回るんだよね?」
朝、私たちの部屋の玄関先でそんな話をしていたはずだ。
佐藤さんと同棲するようになって二週間。彼の仕事のスケジュールは以前より把握出来るようになっていた。
「そのつもりだったんですけど」
佐藤さんがちらと山田さんを見遣る。
「乗り換えで電車から降りたところで山田さんに見つかってしまいまして。俺、清川さんの邪魔になるから今日は行かないって言ったんですよ。それなのに山田さんが強引に」
「えーっ、何だか僕が悪者みたいになってる」
みたいって、悪者では?
とはさすがに言えず。
山田さんが深々と頭を下げて謝る。十五秒程してから彼は頭を上げ、付け加えるように言った。
「いやぁ、駅で佐藤さんとばったり会っちゃいまして。せっかくなんで連れて来ちゃいました」
すでに仕入課を通したらしく山田さんが現物のみを私に手渡してくる。彼の隣で佐藤さんが苦笑していた。だがさすが爽やか系イケメン。苦笑いしようとその格好良さは少しも損なわれていない。
「えっと、今日って午後から西武池袋線沿線を回るんだよね?」
朝、私たちの部屋の玄関先でそんな話をしていたはずだ。
佐藤さんと同棲するようになって二週間。彼の仕事のスケジュールは以前より把握出来るようになっていた。
「そのつもりだったんですけど」
佐藤さんがちらと山田さんを見遣る。
「乗り換えで電車から降りたところで山田さんに見つかってしまいまして。俺、清川さんの邪魔になるから今日は行かないって言ったんですよ。それなのに山田さんが強引に」
「えーっ、何だか僕が悪者みたいになってる」
みたいって、悪者では?
とはさすがに言えず。