溺愛フレグランス
「私は…
私も朔太郎の事はもちろん大好きで…
誰よりも一緒に居て落ち着くし、私の中にも朔太郎の存在は浸み込んでいて、でも…」
「でも?」
私の膝の上で何だか眠そうにしている朔太郎の頬を優しく撫でる。
「でも、この慣れ親しんだ幼なじみの関係を飛び越える勇気がない…」
「勇気? 勇気がいるか?」
私の膝の上でまどろんでいるのは、あの可愛かった子供の朔太郎じゃない。
もう朔太郎は立派な大人で、男と女の関係性を家族的なもので終わらせたりしない。
「晴美は俺のキスが大好き。
だろ?」
私は素直になれない。本当は大好きなのに、それを認めるのは少し悔しい。
「でも、友和さんのキスも好き…」
私の返答に、朔太郎は一瞬目を閉じ小さくため息をついた。
そして、目を開けたその顔は完全に狼の顔だ。欲望と保護本能が滲み出ている。
「じゃ、友和とやらの顔も浮かばないくらい晴美の感情をぐちゃぐちゃにしてやるよ」