溺愛フレグランス
それからの出来事は夢のようだった。
そう、それはまるで夢…
朔太郎は、確実にそして丁寧に、私を快感の世界へ導いていく。
「朔… 私達、セックスするの…?」
私のその言葉に、朔太郎は甘い吐息と一緒にこう答えた。
「遅いくらいだよ…
今日は、確実に、いただきます」
朔太郎はまるで大好きなハンバーガーを平らげるみたいに、軽いノリで楽しそうに私の体中にキスをする。そんな朔太郎が愛おしくて、私の頑丈な殻はあっという間に壊れてしまった。
最高に楽しくて気持ちいい。そして愛おしくて胸が苦しくて仕方がない。
朔太郎と一つに結ばれる事が、今日をスタートに私達にとって当たり前で日常となる。
朔太郎は私の匂いの中毒患者になったと言う。
晴美が近くに居ないとこの病気は治せないと。
でも、それは私も一緒だった。朔太郎のねっとりとした極上のチョコレートみたいな濃厚なキスのフレーバーに、私の全身が反応してしまう。
「ヤバイ…
こんな気持ちいいの初めてだ…」
私の体の上で真っ裸の朔太郎は、爽やかにそんな事を言う。
お互いの全ての事を知り尽くしていたつもりだった私達が、唯一知らなかった事。
お互いの体を重ね合わせた温もりだけは、想像すらした事がなかった。