溺愛フレグランス
友和さんは顔をしかめる。その表情はあまり見た事がない印象の悪いものだった。
私の中で恐怖心が騒ぎ始める。でも、それでも、今日で会う事を最後にするにしても、真相を知っておきたい。
「キャンディは、前も言ったように本当に死んだんだ」
私はげんなりと下を向いた。そして、首を横に振りながら顔を持ち上げ、強い視線で友和さんを見つめる。
「うそ…
だって、この間は、死因も病院名も何も答えられなかった。
それに、キャンディちゃんに関しては不自然な事が多過ぎる。
長年、犬を飼っている人間は、そういう嘘は簡単に見抜けるんです。
友和さん、本当の事を教えてください…」
友和さんはくちびるを噛みしめながら、何か考えている。
私は怖がる心を落ち着かせるために、ミルクティを口に含んだ。
「それって、そんなに大事な事かな?」
友和さんのそのあっけらかんとした質問に私は唖然とした。