溺愛フレグランス


朔太郎にプロポーズされた日から、三日が経った。
今の私達は、結婚という目的に向かうはずが足踏み状態が続いている。
まず一つは、朔太郎の嫌な予感が当たった事。
朔太郎の両親は、私の事を想うあまり朔太郎との結婚を渋った。
朔太郎が家に居ない時間に二人にお呼ばれされた私は、久しぶりに朔太郎の両親とゆっくり話した。

「晴美ちゃん、本当に朔でいいの?」

何度も何度もそう聞かれた。
私はその度に、「本当にいいんです」としっかりと答えた。

「私達は賛成も反対もしない。
だけど、もう少し、時間をかけて考えてみて」

朔太郎の両親は、予想通り、朔太郎の離婚にこだわっていた。
そして、私が初婚で一人っ子で家柄がいいということも。
私と朔太郎にとってはどうでもいい事が、結婚になると足かせになってしまう。
こんなご近所で二人は幼なじみで、だからこそ、皆に認められた円満な結婚でなければいけない。
朔太郎のご両親を説得できない私達は、はたして私の両親を説得できるのか?
そんなネガティブな事ばかり考えてしまう私は、精神的にへとへとに疲れていた。


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