溺愛フレグランス


そして、村井さんと友和さんとの話し合いは金曜日の夜に決まった。
最悪な事に、朔太郎まで同伴する事になった。
それにはこんな理由があった。
私達は、私の両親へ結婚したい旨を土曜日に伝える予定だった。
そんな中、朔太郎は自分の両親にある約束を取り付けていた。
私の両親が朔太郎を歓迎してくれるのなら反対はしないという約束。
だから、朔太郎は必死だ。
前日の金曜日の夜もその事で打ち合わせをしたいと、私に言ってきた。
そんな状況で、私も噓をつくほどの度胸はない。
洗いざらい、全てを打ち明けた。

「何で、行くなんて言ったんだよ」

案の定、朔太郎は機嫌が悪くなる。

「あいつに会えば、晴美は恐縮して何も言えないし何でもうんって言ってしまう。
それを分かってて会いたいって言うんだよ、ああいう奴は」
「でも、村井さんがいてくれるから大丈夫だよ。
村井さんの前では噓とかつかないし、私を騙したりもしないと思う」
「村井さんが怖いから、か?」


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