溺愛フレグランス
そして、金曜日の夜を迎えた。お店は駅に程近いイタリアンレストランだそうだ。
仕事を終えた私は車を置きに家へ帰り、そして、朔太郎と一緒に出掛けた。
「何だか緊張してきた…」
友和さんに対して、私はトラウマが多過ぎる。
ケガをした左目だって、もう傷は治っているはずなのに何だかズキズキと痛んできた。
「大丈夫だよ…
言う事だけはっきり伝えて、とっとと帰って来よう」
「…うん」
気が重たくてしょうがない。
友和さんの本性は危険な匂いがプンプンする。
それに、村井さんの事も気がかりだった。村井さんと友和さんを引き合わせたのは間違いなく私だから。
お店に着くと、もう、すでに二人はテーブルを囲んで談笑している。
私の緊張は一気にマックスに達する。
朔太郎は、そんな私に気付いて優しく腰に手を回した。
「晴美ちゃん、ここよ。
朔太郎君、久しぶり」
村井さんはいつもの村井さんだ。隣に座る友和さんは怖くて見る事ができない。
「晴美ちゃん、目の傷は大丈夫?」
眼帯が取れている私を見て、友和さんはホッとした顔をしている。
その姿は確認できた。
「傷は残ってないみたいで、ホッとしたよ」