溺愛フレグランス
「晴美ちゃん…
その…
彼の前で言うのも変だけど、僕は本気で晴美ちゃんの事が好きだった。
色々な誤解で嫌な思いをたくさんさせたみたいだけど、でも、騙そうとか怖がらせようとかそんな事は一つも考えてなかった。
その幼なじみ君と結婚するのが本当だとしても、僕は晴美ちゃんの事は絶対に忘れない。
もし、困った事があったら、いつでも連絡してきて。
僕は晴美ちゃんのためなら何でもしてあげたい。
連絡先はこのままにしとくから」
友和さんの顔は、出会った頃のように爽やかで優しい。
その大人の雰囲気は、まだ精神的に幼い私の怯えた心を包み込んでくれる。
いや、でも、私はもう騙されない。
純粋な女心を惑わすテクニックは、もう私には通用しない。
そして、それよりも恐怖を覚えたのは、隣に立つ朔太郎の今にも爆発しそうなイライラした表情だった。
「と、友和さん…
その気持ちだけいただきます。
それに、もし、この先、困った事があったら、ここにいる彼に助けてもらいます。
なので、今日で会うのは最後にします。
今まで、ありがとうございました…」