溺愛フレグランス
由良ちゃんの言葉で少し救われた。
明日、本人に会って色々聞いてみよう。
由良ちゃんが言うように、そういう類の物が苦手なだけかもしれないし。
そんな事を考えながら私は夕食を済ませ自分の部屋へ籠った。
早々にお風呂を済ませた私は、明日のために美顔マッサージをしたりネイルを綺麗に塗りたかった。
「晴美ちゃ~ん、朔ちゃんが見えてるわよ~」
は? 朔太郎が?
こんな遅い時間にどうしたの?
お母さんの弾んだ声は、朔太郎がこんな遅い時間に訪れても問題ないという事だ。
私が一階へおりると、朔太郎はもうすでにリビングのソファでくつろいでいた。手土産など何も持ってきていない気さくさが、幼なじみの特権なのだろう。
「お母さん、隣の客間を使っていい?」
さすがに私の部屋には入れるわけにはいかない。
風呂上りの私に大きめのベッド、何もないけれど、両親に変な心配をさせたくなかった。私の考えすぎかもしれないけれど。
でも、子供の頃は、この客間で朔太郎とよく遊んだ。テレビを観たり音楽を聞いたり、中学生の時は一緒に受験勉強もした。
だから、二人にとっては馴染みの深い客間だった。
「どうしたの? こんな時間に」
お母さんが持って来てくれたお茶を飲みながら、私はそう聞いた。