溺愛フレグランス
「う~ん、どこだったっけ…?」
「は?」
だよね~ そういうリアクションになっちゃうよね~
私は一人で頭の中でツッコミをいれながら、覚悟を決めた。
「いや、それがね…」
朔太郎は湯飲みを持ったまま、私の事を凝視している。その視線に私の声は小さくなり、耳を澄まさないと聞こえないほどだ。
「実は、友和さんも大の犬好きで、明日はお互いのワンちゃんを散歩させながら会おうってなって、友和さんが車で私とモフ男を迎えに来るの」
「モフ男も?」
私は朔太郎の大きな声に驚いてしまう。
朔太郎の表情は、モフ男をその場所に連れていく事は反対!と訴えている。
「だって、友和さんとはマッチングアプリの犬好きっていうカテゴリで繋がって、そういう人達はお互いのワンコを連れて一緒に会ったりするみたい。
なんかね、ちょっと行った先の高速のパーキングに、ドッグランのあるドッグカフェがあるらしくって、そこに行く予定」
あ~、言ってしまった。
朔太郎はため息交じりにくだらね~と言った。
「もう、いいから、私の事はほっといてよ。
恋愛経験が多い朔太郎からしてみればくだらない事だと思うけど、私達はお互い真剣なの。だから…」