溺愛フレグランス


友和さんと初めて会う日曜日は、最高に天気のいいデート日和だった。
昨夜、朔太郎と交わした会話の内容はひとまず頭の隅っこに追いやった。
今日は、初めて会う友和さんと楽しいひと時を過ごしたい。
私は少しだけお洒落をした動きやすい服装で、モフ男を連れて駅の近くで友和さんを待った。
モフ男は今のところ機嫌がいい。
でも、人が多いドッグランは少し苦手でそれにドッグカフェというものも初めてで、正直に言うとかなりそれが気がかりだった。

そんな事を考えて友和さんを待っていると、真っ黒の大きなスポーツカータイプのBMWが私とモフ男の前で停まった。
私が驚いて後ずさりしていると、その車の中から友和さんが現れた。

「晴美さん、僕です。友和です」

友和さんはビデオ電話の時のイメージとは全然違った。
どちらかというと地味で大人しい性格の人だと思っていたのに、目の前に立つ友和さんは身長が高くて身につけているものも結構お金がかかっている。
乗っている車がBMWのスポーツカーというところでお金持ちに違いない。でも、愛犬のキャンディがいなかった。


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