溺愛フレグランス


「朔は、私が友和さんと仲良くなって、それでそんな事を言い出しているだけで、もし、私が友和さんもいないただのフリーの状態だったら、気付く事もなかったはずだよ…
だから、今のこの訳の分からない状況で、私は判断したくない。
朔太郎を好きな事は間違いなくて、でも、今は友和さんの事も気になってしょうがないの。
今までどおり、幼なじみのままじゃだめかな?
朔太郎だって、そうじゃないって思う時がくるかもしれないし」

朔太郎はモフ男をまた私から取り上げると、反対側のソファに座った。
そして、私の事を怒ったようにジッと見つめる。何度かため息をつき、ブツブツとモフ男に何かを言いながら。
そして、今度は捨てられた子犬のような切ない瞳で私を見つめた。

「俺は、晴美に付き合おうって愛の告白をした。
でも、晴美は付き合えませんって返事を、今、した。
ってことだろ?」

私はしばらく考えて、胸がギュッと締め付けられる苦しさの中、静かに頷いた。
朔太郎はモフ男を床に下ろしソファに寝転がると、天井を見つめたまま、分かったよ…と物悲し気にそう呟く。
私は、その後の息苦しい沈黙に心臓が押しつぶされそうだった。


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