溺愛フレグランス


友和さんの車は海の方へ向かっている。
横浜の街を抜けると、湘南の海が広がって来た。
私の住む街から海は遠くにある。

そういえば、朔太郎が車の運転免許をとった大学一年生の夏に、智也の彼女と朔太郎と私で千葉の房総の外海を見に行った事があった。
あの時、朔太郎には他に彼女がいた。
ぞれなのに私を誘った朔太郎の事を変だとも思わずに、朔太郎の隣の助手席でくつろいでいた。
智也が後ろで彼女といちゃつくのを見ながら、私達も普通にいちゃついたのを覚えている。
真っ青な空とそれと同化している海を見ながら、あの日のそんな出来事を思い出す。

友和さんは海沿いに建つお洒落なビルの地下駐車場に車を停めた。そして、運転席から出るとすぐに助手席側へきて、私に手を差し伸べてくれる。
四歳しか違わないのに、友和さんは完璧過ぎた。
レディファーストはもちろんの事、全てに関して抜け目ない。
そして、そんな友和さんを素敵だと思ってしまう、素直な私がいた。

友和さんが予約していたお店は、海の見えるレストランとして超人気のある店だった。

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