翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「だって俺、奥寺さんのことがずっと好きなんだ」
「えーっっっ!」
華世ちゃんと私の悲鳴が重なる。
「ぶっちゃけ彼女が傷付いてる今がチャンスだと思ってる。ずるいって思われてもいい、勝機を逃したりしたくない」
さっき校庭を眺めてたのは、奥寺さんを目で追ってたんだ。
「岡崎君、それほんと?」
「ほんとだよ、大真面目。彼女が何度振られても諦めきれない宮辺ってどんなヤツなのかな、って思って俺ずっと見てたんだ」
岡崎君リサーチによると、翔ちゃんはやたらとモテるくせになぜか彼女を作らないという、男子から見たら敵としか思えない典型的なイケメンだとか。
(そのうえ勉強も運動もできるのが更にムカつくらしい)
だから奥寺さんもその見た目を好きになったんだろうと思ってたけど、違ったって。
奥寺さんを目で追えば追うほど、彼女が翔ちゃんのことをちゃんと好きなんだってことがずっしりと伝わってきて、辛かったし今も辛いって。
ゆっくり確かめるように話す岡崎君の横顔を見ていたら、自分も苦しくなってしまった。
「しかも負けず嫌いの彼女が、唯一ライバル視してたのは平澤さんだけだったんだよね。だから俺は君にすごく興味があったんだ。話してみてわかったよ、なるほどねって」
岡崎君は思わせ振りに微笑んで、私の目を覗き込んだ。