翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
訳のわからないことを言っているようで、彼の言葉には変な説得力がある。
ついでに言えばこんなに絵が上手だなんて知らなかった。美術でも賞とかとったことないもんね。
「とにかく、一度彼とちゃんと話してみたら?美緒ちゃんだけ苦しいなんてやっぱそんなのおかしいじゃん。ふたりのことなのに」
「……そうだね、ありがとう」
心にずっしり、華世ちゃんの言葉が沈んでった。
「もう一度ちゃんと考えて、うまく話せるよう努力してみる」
そうは言ってみたものの、やっぱり少し怖いよ。
「ほら、元気出して」
華世ちゃんが頭をなでなでしてくれた。
「ついでに勇気も出して?」
岡崎君も、頭をぽんぽんしてくれて、ふたりの優しさがしみてきた。
優しく笑ってる岡崎君がほんとうに慰めたい人は、奥寺さんなのにね。
私だけ甘えたまんまじゃダメだよね。
「ふたりとも、ありがと」