翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「だってここじゃ、これ以上くっつけないじゃん」
「これ以上、とは?」
動揺のあまり、シャー芯が折れた。
「こんくらいのワードで手止めんなよ、集中力が3歳児並み」
「え、さっきのわざとなの?」
翔ちゃんは呆れてため息をついたけど、その顔は優しく笑ってた。
「あーあ、もう美緒と帰るの諦めよっかなぁ」
「そんなこと言わないで!どんなワードにも、もう惑わされないから」
「じゃ5分以内に計算問題10個解いて」
「スパルタすぎない?」
「できるよ、美緒なら」
やった!褒められた!
ん?褒められたのか?
「アメとムチ使い分けてるし!」
「途中、甘い言葉で誘われても負けるなよ?」
強く頷いてはみたけれど、未知の勉強法に面食らっちゃってどうしよう。
「とにかく集中な」
「わかった!」
スマホのタイマーをセットして、ほんとに5分1本勝負が始まった。
ペースよくなんとか5問まで行って
このまま後半スパートかけるぞと思ったら
「できたらなんでもいうこと聞いてあげる」
翔ちゃんが耳元でそう囁くから、また思い切り芯を折ってしまった。