翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


「ピザ関係ねーじゃん」

「確かに……」


翔ちゃんが超絶クールなのを忘れてましたぁ。ぐぅの音も出ないとはこのことだ。


「そんなんわざわざ10回言わせなくても何度でも好きだって言うけど」

「へっ?」

ぎゅっと強く手を握り返されて。

「証拠みせようか?」

「えぇぇ!」

端正な顔がぐいと近づいてきた。
これってこれって、あの漫画のワンシーンじゃん!

「こういうシチュエーションが理想なんだ?」

「うん実は……憧れてたんだよね」

えへへと笑って恥ずかしいのをごまかしてみるけどたぶん隠せてないなこれ。

「覚えとく」

「ん?」

「美緒の好きなもの、ちゃんと覚えとく」

笑顔が爽やかすぎて腰が抜けそう。

「……えっと……あっと」

キュンが炸裂してもう呂律も回んない。

「でもこっそりキスとかいやだ。堂々のがいい」

「おぉおおぉ?」

「動揺しすぎ」


笑われた。たぶん遊ばれてる。
しかも漫画の元ネタ知ってるうえに、それを遥かに越えてくるから焦っちゃった。

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