翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?

ある日のお使い途中、商店街に飾られる短冊が目に留まって、その悩みごとを書いてしまおうかと足を止めた。


『受験しか頭にないとっても真面目な子でありますように』

『可愛い子じゃありませんように』

『翔ちゃんに見向きもしないくらいラブラブな彼氏がいますように』


うーん、でも七夕の短冊ってそんなんじゃないよね?悩みじゃなくて、願いを込めるはず。


それなら、書くべきことはただひとつ。
でも恥ずかしいから、人目を気にしつつ、こそこそと書いた。もちろん、精一杯、心を込めて。


それをうんと背伸びして出来るだけ高いところに飾った。わたしの願い事、星まで届いてよねー!


なのに、バイト初日を終えた翔ちゃんから
とんでもない言葉を聞かされてしまった。


「あのさ、俺がなんかに似てるんだって。ルカ先生って呼ばれて気持ち悪いんだけど。なんとかって漫画の登場人物……美緒知ってる?」

「えっ?えーっっ!」


早くも波乱の幕開けです。

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