翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「そうだ電話!岡崎君にかけてみるね」
隠したい涙と震える指のせいで、スマホをうまく扱えない。
「かけなくていいよ」
「だって……」
「それより鳩、出してあげる」
「鳩?」
びっくりして顔を上げたら、目の前で奥寺さんが微笑んでいた。
「見ててね」
彼女はふっくらとした両手を丸めて重ねて、白い子ウサギみたいな形を作って見せた。
何が起こるのか……あっけにとられていると、親指と親指を絡めて8本のすらりとした指が、幸福の白い鳩みたいに羽ばたいた。
「ほら、涙止まった」
手で模した鳩の羽の部分。
白くて細い人差し指と中指で、彼女は私の涙を拭いてくれた。
隠したい涙と震える指のせいで、スマホをうまく扱えない。
「かけなくていいよ」
「だって……」
「それより鳩、出してあげる」
「鳩?」
びっくりして顔を上げたら、目の前で奥寺さんが微笑んでいた。
「見ててね」
彼女はふっくらとした両手を丸めて重ねて、白い子ウサギみたいな形を作って見せた。
何が起こるのか……あっけにとられていると、親指と親指を絡めて8本のすらりとした指が、幸福の白い鳩みたいに羽ばたいた。
「ほら、涙止まった」
手で模した鳩の羽の部分。
白くて細い人差し指と中指で、彼女は私の涙を拭いてくれた。