翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?
「美緒?開けていい?もう出てんの?倒れてないよな?」
ああ見えて心配性の翔ちゃんはセリフにハテナマークが多い。
返事をする前に、慌ててドライヤーのスイッチを入れた。
「女の子のいるバスルームに勝手に入らないでよ」
鏡に映る自分から目を逸らさずに精一杯の強がりを言ってみる。
髪を乾かすふりをしてタオルでモジャモジャすれば赤い目を隠せるかも。
「自分でやってんだ?」
ドアの隙間から翔ちゃんはまたハテナマークを投げ掛けてきた。
「当たり前でしょ」
雨に濡れて熱出すなんて自己管理できない子供な証拠、って前に翔ちゃんに言われたもんね。