翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


リビングに逃げ込んだらバスルームよりも雨音と雷の音が派手に響いていたから、ソファーの隅に三角座りしてお母さんに電話した。


「もしもし、お母さんまだ仕事終わらない?」


いつも通りならもうすぐお母さんが帰ってくる時間だった。


「なんかあったの?もうちょっとかかるよ、あと30分くらいかなぁ、なんか雨ひどくなってきたねぇ」


間延びしたお母さんの口調で絶望的になる。


「なるべく早く帰って来て!私鍵持ってなくて翔ちゃんちに避難してるから。家に着いたら……ううん。着く5分前には連絡入れて。ね、絶対だよ?」


念押ししてお母さんとの電話を切った。


早くここを出たい。
本当なら翔ちゃんがお風呂を出る前に帰りたい。


でも鍵ないし、雷こわい。
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