翔ちゃん雨だよ一緒に帰ろ?


「まぁいいよ、どうせまた雨に濡れて帰ってきたんでしょ。ほんとおまえ役に立たないね。顔はちょっとあたしに似てるかもだけど、心は芋だよね〜」


我が姉ながら、口の悪さは天下一。
この人がどうして大学一の彩色兼備と唱われるミスに選ばれるのが俺には信じられない。みんなの目は節穴か?


「なんとでも言え。じゃ、制服よろしく」


「じゃ、って返しなんなのよ。なんかリアクションしなさいよ。てか、あんたどこいくつもり?」


「自分の部屋だけど」


すでに階段を二段あがってることに気づいてか、姉貴の目の色が変わった。


「おまえはなんでそうなのよ、そんなんじゃ美緒ちゃんとカレカノになんて一生なれんぞ!」


「誰がいつそんなの望んだよ?」


この人のなかでは「俺と美緒」という、あり得ない組み合わせが長年の理想らしい。


まぁ美緒のことが可愛すぎるあまり、他の男といるのを想像したくないだけなのかもしれないけど。
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