会長。私と恋のゲームをしてください。
「美雪ちゃん」



差し出されたのは可愛らしい紙袋。

中を見ると、そこに入っていたのはホワイトベースのシフォンワンピースだった。


半袖部分のふんわりフリルと、ウエストから膝下まで広がるスカート部分。

ところどころに花柄の刺繍が施されていて、見とれてしまうようなワンピースだ。



「これ、あげる」

「えっ」

「あげる!」



勢いよく差し出されたワンピースを思わず受け取る私。

手にしたワンピースを見てみれば、やっぱりきれいなワンピースだった。



「美雪ちゃんにあげる!」

「でも、高そうだし……。もらえないよ」

「いいから!」



夏樹ちゃんは目に涙をためながら『あげる』の言葉を繰り返す。
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